収録されているガラス用語:日射熱取得率
用語解説
日射熱取得率
はじめに
日射熱取得率(ひしゃねつしゅとくりつ)は、太陽からの放射熱エネルギーが建物の内部に取り込まれる割合を示す指標です。ガラス関連の設計や選定において日射熱取得率は重要な要素であり、建物のエネルギー効率や快適性に大きな影響を与えます。本稿では、日射熱取得率の概念、計算方法、関連技術、およびその効果について詳しく解説します。
日射熱取得率の概念
●日射熱取得率とは
・定義: 日射熱取得率(SHGC: Solar Heat Gain Coefficient)は、太陽光によって建物内に取り込まれる熱エネルギーの割合を示す数値です。具体的には、ガラスや窓を通じて室内に入る太陽の熱エネルギーを、外部から入る総エネルギー量で割ったものです。
・目的: この指標は、特に冬季の暖房効率や夏季の冷房効率に影響を与えるためエネルギー効率の高い建物設計において重要です。
●日射熱取得率の意義
・暖房効率の向上: 冬季において、高い日射熱取得率を持つガラスを使用すると太陽光によって室内の温度が上昇し暖房の負荷が軽減されます。これにより、エネルギーコストの削減が可能となります。
・冷房負荷の調整: 夏季には、日射熱取得率が低いガラスを選ぶことで外部からの熱の侵入を抑え冷房の負荷を軽減することができます。
●ガラスの種類
・単層ガラス: 基本的なガラスで、SHGCは比較的高めですが、断熱性能は低いで寒冷地や暑い地域では、追加の断熱対策が必要です。
・複層ガラス: 2層または3層のガラスを使用したもので、SHGCを調整しつつ高い断熱性能を提供し冬季の暖房効率と夏季の冷房効率が改善されます。
・低放射(Low-E)ガラス: 特殊なコーティングが施され、太陽熱の透過を調整することができSHGCの値をコントロールし、エネルギー効率を向上させます。
●ガラスのコーティング
・反射コーティング: ガラスの表面に反射コーティングを施すことで、日射熱の取得を抑えることができ冷房負荷を軽減することができます。
・吸収コーティング: 吸収性の高いコーティングを施すことで、日射熱を効果的に取り込むことができ暖房効率が向上します。
●窓の設計
・方位: 窓の方位によって、取り込む日射熱量は異なります。南向きの窓は冬季に多くの太陽熱を取り込むことができ北向きの窓は日射熱の取得が少なくなります。
・サイズと配置: 窓のサイズや配置も、日射熱取得率に影響を与えます。大きな窓や多くの窓を設置することでより多くの太陽熱を取り込むことができますが、冷房負荷の増加にも注意が必要です。
日射熱取得率の関連技術
●日射遮蔽技術
・シェードやブラインド: 外部または内部に取り付けることで日射の取得量を調整することができます。特に夏季には、遮蔽によって冷房負荷を軽減できます。
・可動式シェード: 日射の強さに応じて、シェードの位置や角度を調整することができます。これにより年間を通じて快適な室内環境を維持することができます。
●スマートガラス技術
・電気的調光ガラス: 電気的に透過率を調整できるガラスで、日射熱取得率をリアルタイムで制御し室内環境の快適性を保ちながらエネルギー消費を削減することができます。
・自動調整機能: 環境センサーを使用して、外部の光量や温度に応じてガラスの透過率を調整することができ効率的なエネルギー管理が可能となります。
●エコガラス
・エネルギー効率の向上: 環境に配慮したエコガラスは、日射熱取得率と断熱性能を両立させることで持続可能な建物設計に貢献します。リサイクル可能な材料や低エネルギー性能を持つガラスが含まれます。
日射熱取得率の効果
●暖房と冷房の効率化
・暖房負荷の削減: 高いSHGCを持つガラスを使用することで、冬季に室内の温度が上昇し、暖房の負荷が軽減されエネルギーコストが削減されます。
・冷房負荷の軽減: 逆に、夏季にはSHGCが低いガラスを選ぶことで、外部からの熱の侵入を抑え、冷房の負荷を軽減でき冷房にかかるエネルギーを節約できます。
●室内環境の改善
・快適な室内環境: 適切なSHGCの選定により、室内の温度や明るさが適切に保たれ、快適な居住空間が提供され住人の快適性が向上します。
・自然光の利用: 日射熱取得により、自然光が室内に取り込まれることで人工照明の使用が減りエネルギーの節約が可能となります。
●環境への配慮
・エネルギー効率の向上: 高いエネルギー効率を持つガラスの利用により建物のエネルギー消費が抑制され環境負荷の低減が実現され持続可能な建物設計が可能となります。
・省エネルギー効果: SHGCの最適化によって暖房や冷房にかかるエネルギーを削減することができエネルギー資源の効率的な使用が促進されます。
まとめ:
日射熱取得率は、ガラスの選定や設計において重要な要素であり、建物のエネルギー効率や快適性に直接的な影響を与えます。高いSHGCを持つガラスは、冬季に暖房負荷を軽減し低いSHGCを持つガラスは、夏季に冷房負荷を削減します。さらに、日射熱取得率に影響を与える要因や関連技術を理解し適切な選定を行うことで、エネルギー効率の高い快適な建物環境を実現することができます。